対策と限界

リレーアタックを防ぐには何をすればよいのか?

2026年1月1日

まず何が起きているのか(状況整理)

リレーアタックとは、スマートキーが常時発信する微弱な電波を、特殊な中継器で延長し、車両に「キーが近くにある」と誤認させる盗難手口である。

スマートキーの仕組みと悪用のポイント

スマートキーは車両との間で常時微弱な電波を送受信している。この電波が中継器で延長されると、家の中にキーを置いていても、車両は正規のキーが近くにあると判断し、解錠・エンジン始動が可能になる。

スマートキーの状態

リレーアタックの成立

通常状態(電波発信中)

成立する可能性あり

節電モード(電波停止)

成立しない

電波遮断ポーチ内

成立しない

犯行は2人組・数十秒〜1分程度で完了

リレーアタックは通常2人組で行われる。1人目が玄関付近でキーの電波を受信・増幅し、2人目が車両付近で増幅された電波を送信する。成功すれば解錠からエンジン始動まで1分以内で完了する。

最初にやっていいこと

リレーアタック対策は「スマートキーの電波を車両に届かせない」ことが基本である。以下の対策は、特別な工事や費用をかけずに今日から実施できる。

電波遮断ポーチに保管する

スマートキーを電波遮断ポーチに入れることで、電波の漏洩を防ぐことができる。電波が外部に出なければ、中継器で延長することもできない。

  • 帰宅後はすぐにポーチに入れる習慣をつける
  • 製品によって遮断性能に差があるため、購入後にテストすることを推奨
  • テスト方法:ポーチに入れた状態で車両に近づき、解錠されないことを確認する

節電モード(スリープモード)を使う

一部のスマートキーには、電波発信を停止する節電モードが搭載されている。節電モードを有効にすると、電波が発信されなくなるため、リレーアタックは成立しない。

  • 設定方法は車種によって異なる(取扱説明書またはディーラーで確認)
  • 節電モードが搭載されていない車種もある
  • 節電モード中はスマートキーでの解錠ができなくなる(物理キーで解錠が必要な場合あり)

金属缶・アルミケースに保管する

密閉性の高い金属缶やアルミケースに保管することで、電波を遮断できる。電波遮断ポーチと同様の効果がある。

  • 菓子缶など、蓋がしっかり閉まる金属缶であれば利用可能
  • 蓋と本体の間に隙間があると遮断効果が弱まる
  • 保管後にテスト(車両が反応しないことを確認)することを推奨

玄関から離れた場所に保管する

スマートキーの電波は距離によって減衰する。玄関から離れた場所(2階の寝室など)に保管することで、電波が車両まで届きにくくなる。

  • 建物構造によって効果は変わる
  • 電波遮断ポーチや金属缶との併用が望ましい

絶対にやってはいけないこと(安全・法)

リレーアタック対策として、以下の行動は避けるべきである。

不審者を発見しても自分で追いかけない

犯行グループは複数人で行動していることが多く、対峙すると危険な状況になる可能性がある。不審者を発見した場合は、直接対峙せず、安全な場所から110番通報を行う。

「鍵をかけているから大丈夫」と油断しない

リレーアタックでは、正規のキー認証プロセスが通るため、施錠していても解錠される。イモビライザーも同様に突破される。「鍵をかけている」「イモビライザーがある」は、リレーアタックに対しては防御にならない。

遮断効果を確認せずにポーチや缶を信頼しない

電波遮断ポーチや金属缶は、製品・状態によって遮断性能に差がある。購入・使用後に必ず遮断テストを行い、車両が反応しないことを確認する。

状況別の判断分岐

対策の有効性は、車種・スマートキーの機能・駐車環境によって異なる。

節電モードの有無による分岐

車種の状況

推奨対策

節電モードあり

節電モード活用 + 電波遮断ポーチ併用

節電モードなし

電波遮断ポーチ or 金属缶で保管

不明

取扱説明書・ディーラーで確認後に判断

駐車環境による分岐

駐車環境

リスク

推奨対策

自宅敷地内・玄関近く

高い

電波遮断 + 玄関から離れた場所に保管

自宅敷地内・玄関から遠い

中程度

電波遮断を基本とし、距離も確保

マンション駐車場

中〜高

電波遮断 + 別系統のセキュリティ検討

月極駐車場(離れた場所)

距離による

電波遮断を基本とするが、距離があれば低リスク

想定リスクによる分岐

盗難リスクが高い車種(ランドクルーザー、アルファード、レクサスLX/NXなど)を所有している場合は、電波対策に加えて、別系統のセキュリティ(エンジンロック、GPS追跡等)を併用することで、犯行の成功率を下げられる可能性がある。

CAR Controlがカバーできる範囲・できない範囲

CAR Controlは、電波対策とは別系統のセキュリティとして、エンジン始動を物理的にロックする方式を採用している。

できること

機能

対リレーアタックでの役割

エンジン始動の阻止

リレーアタックで解錠・始動操作されても、認証がなければエンジンがかからない

不正始動時のアラーム・プッシュ通知

犯行の試行を検知し、オーナーに通知

GPS追跡による位置特定

万が一持ち去られた場合の発見支援

できないこと

限界

理由

リレーアタックによる解錠自体の防止

電波の中継は阻止できないため、車内への侵入は防げない

車内荒らし・部品盗難の防止

解錠されれば車内にアクセスされる可能性がある

レッカー・積載車での持ち去り防止

エンジンをかけずに物理的に移動される場合は阻止できない

GPS追跡の通信圏外での位置更新

通信圏外では位置情報が更新されない

電波対策との違い

電波遮断ポーチや節電モードは「リレーアタックの成立を防ぐ」対策である。一方、CAR Controlは「解錠・始動操作されても、エンジンをかけさせない」対策である。防御のレイヤーが異なるため、併用することで対策の冗長性を持たせることができる。

ただし、車内荒らしや積載車での持ち去りには対応できないため、駐車環境や想定リスクに応じた判断が必要である。

実際のケース(再現形式)

以下は、リレーアタックによる犯行未遂の再現事例である。

発生状況

  • 時間帯:深夜2時頃
  • 場所:戸建て住宅の自宅敷地内駐車場
  • 車種:トヨタ アルファード(スマートキー車)
  • スマートキー保管場所:玄関の下駄箱上

犯行の経過

  1. 2人組が敷地に侵入
  2. 1人目が玄関前に立ち、中継器を起動
  3. 2人目が車両付近で受信機を操作
  4. 電波の中継に成功し、車両が解錠された
  5. エンジン始動を試みるが、別系統のセキュリティにより始動せず
  6. アラームが鳴り、犯行グループは逃走

結果と理由

解錠は成功したが、エンジン始動は阻止された。電波対策(ポーチ保管)を行っていなかったため解錠は許したが、エンジンロックにより自走での持ち去りは防げた。

この事例では、電波対策が行われていれば解錠自体も防げた可能性がある。複数レイヤーでの対策の重要性を示すケースである。

FAQ

電波遮断ポーチと節電モード、どちらが良い?

どちらも有効であり、併用が望ましい。節電モードはキー操作なしで電波を停止できるが、搭載されていない車種もある。電波遮断ポーチは車種を問わず使用でき、製品の品質が高ければ確実に遮断できる。両方が使える場合は併用することで冗長性を持たせられる。

金属缶で本当に遮断できる?

密閉性の高い金属缶であれば遮断可能である。蓋と本体がしっかり閉まる菓子缶などが利用できる。ただし、蓋に隙間があると電波が漏れる可能性があるため、使用前に必ず遮断テストを行う。車両に近づいても反応しなければ遮断できている。

節電モードにするとキーが使えなくなる?

節電モード中はスマートキーによるワイヤレス解錠ができなくなる場合がある。その場合、キー本体に内蔵された物理キーでドアを解錠し、車内で節電モードを解除してからエンジンを始動する。操作方法は車種によって異なるため、取扱説明書で確認が必要である。

自分の車・環境に当てはまるか判断に迷う場合

リレーアタック対策は、車種・スマートキーの機能・駐車環境によって有効な手段が異なる。「自分の車種に節電モードがあるか」「電波対策だけで十分か、別系統のセキュリティも必要か」を判断したい場合は、車種情報と駐車環境をもとに個別相談が可能である。

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